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(日記から)


この間の朝、よく行く旅館の浴場で、客があまりいない時間帯に、露天風呂にある休憩用の張り板の上で寝ていた老人が、「ちょっと…兄さん…ちょっと…」と真っ赤な顔して呼ぶ。脳溢血でも起こしたのかと近づいてみると、金鎖の留め具が板と板の隙間に入り込み、抜けなくなってもがいていたのだった。
「えらいこっちゃ」と言って手を貸すが、なかなか抜けない。「まあ、入ったものは抜ける筈やさかい」と慰める。
何かつつくものはないかなあと探すと、老人さっきから自力で何とかしようと手に握りしめていたロッカーキーを僕に渡し、それで何度もつついているうちに、ようやく抜けた。
ご老人、何度も手を合わせてお礼を言ってくれた。
人に感謝される仕事は気分がいい。
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